海外分散投資とヘッジオンラインについて
海外分散投資とヘッジオンラインについて
あらためて、今回お話したいと思うことがあります。ヘッジオンラインがそもそもはじまった趣旨であり、今後読者の皆様をお連れしたいと思う世界についてです。
今ご覧いただいている「ヘッジオンライン」がスタートして2年半(2019年1月現在)が経ちます。ある意味はじまったばかりともいえますし、もう2年以上も経ったのかという感慨もあります。
お伝えしていく内容や方法は今後も改善していくことは勿論ですが、一方で、不変に追求していきたいと思っているのが「ヘッジオンライン」が当初から目指している理想についてです。
それは「海外投資をはじめとして海外とのつながりで生き残る」ことです。多極化の時代へと大きく世界が変わっていく中にあってもです。
少子高齢化社会に既に突入している日本や日本人にとって、海外の高い成長力や大きな需要を取り入れていくことは今後生き残っていくために必須です。だからこそ、我々が既に行なっており、そして行ない続けないといけないことが、海外投資をはじめとした「海外とのつながり」なのです。
「海外貿易立国」として名高い日本ですが、実はその姿を「海外投資立国」へと変容させて10年以上が経過しています。証左として、主に貿易収支と所得収支で成り立っている我が国の経常収支黒字の中身は、この10年以上、海外投資の利益や配当による所得収支の黒字が貿易収支の黒字を圧倒しています。

日本社会は大きく変貌を遂げているのです。必然として変わらざるを得なかったとも言えます。少子高齢化社会になりつつも、一等国としての豊かな暮らしを維持するためには、従前蓄えてきた資本を活かして他国の成長力を取り入れる「海外投資立国」という姿への変化はどうしても必要なことなのです。
しかし、この海外投資という活動は貿易活動と比べてかなり難しい活動と言えます。
少なくない方がこの意見へ違和感をお持ちになるかもしれません。海外投資なんてオンライン証券に口座さえあれば、安価に誰にでもすぐにできる簡単なことなんじゃないの?という風に考えられがちです。
勿論、そんなことはないのです。「行う」ことと「成功する」ことは全く違うからです。
そして、貿易というものが現在の価値同士を交換する行為であることに比べて、投資という行為が現在の価値を未来の価値と交換する行為であるということだけでもその大変さを感じていただけるのではないでしょうか。
実際、生き残っていくのが難しいと言われる投資運用業務という世界で大学卒業以来この20年間ずっとやってきています。
私はこの海外投資の方法を大学で国際政治経済学として、また大学院で金融工学として体系的に学んだ後、都銀系投資顧問会社の債券ファンドマネージャーからスタートしました。そして、米系大手銀行の為替・金利トレーダーで国際フローの動きを実地で会得したのち、世界最大手投資顧問会社でグローバルアセットアロケーション戦略のファンドマネージャーとして世界最先端の海外投資手法を駆使して巨額の資金を運用する機会にも恵まれました。
特にダウンサイドをプロテクト(後述しますが、ブラックスワンファンド運用といって世界市場が下落する時に大きくリターンを残す投資ファンド)する技術は世界でも屈指の技術を学んできたと自負しています。
ブラックスワン戦略とグローバルアセットアロケーション戦略との組み合わせで、継続的に大きなパフォーマンスを挙げてのち、現在はより自由に運用活動を追求できるブティック型の英系投資顧問会社でブラックスワン戦略とグローバルアセットアロケーション戦略のファンドマネージャーとして海外投資活動に従事しています。
この20年間では勝ち負けはあったものの、総じてお客様から評価を得てきた形でファンドマネージャー業務を続けることが出来ています。
そして、この海外投資運用業務に20年という長い期間、専心してきた過程で、「海外投資を含む海外とのかかわりあいに成功するためのコツ」を会得してきました。海外ビジネスの羅針盤といってもいいかもしれません。この羅針盤のおかげで2008年のリーマンショックや2015年のチャイナショック時には大きなリターンを残すことができてきました。
「ヘッジオンライン」を通じて皆様と「海外ビジネス(投資も含む)の羅針盤」をシェアして時局が変遷していく中であっても海外投資活動をはじめとして海外とのつながりをどうやって開発し維持していくかの知見を共有し、そして、共に生き残っていきたいと思っているのです。
因みに投資を含む海外ビジネスで成功するコツは要約すると次の3つです。
(1) 1年以上は持ち続けること
(2) お互いに影響し合わないようなビジネスや資産に分散すること
(3) プラスの期待リターンを持つものだけに投資すること
(4) 上記の3つの要因は平時を想定した上での話であるため、これらを無為なものする非常時への対応を想定してポートフォリオを組むこと
これを一言でいうと「長期海外分散行動(投資)」と言います。
この長期海外分散行動(投資)を行う際に多くの人が(2)(3)を軽視し(4)を無視しがちでそして失敗していきました。
だからこそ「ヘッジオンライン」では(2)と(3)と(4)に留意して以下の情報を重点的にお届けしていきたいと思っています。
1)世界の動きに「いち早く気付く」こと
2)海外とのアクションを「いち早く行う」こと
3)世界の動きを「深く考える」こと
言い換えればこのようになります。
1)世界に「気付く」こと
‐市場で大きな動きにつながっていくような事象を人より早く取り上げ、「気づきのチャンス」を提供
2)海外ビジネスを「行う」こと
‐人より投資を含むビジネスアクションに遅れがでないように、整合性のある行動ロジックを説明し躊躇という摩擦を取り除く、「説明責任」を全うすること
3)常に世界を「考える」こと
‐そのビジネス行動ロジックに持続性があるのかを深く考える「シミュレーション思考」の提供
感じたら即動き、そして熟考する、というステップの繰り返しです。考えているだけではダメです。行動が必要です。そして行動を行うには「気付く」ことが必須になります。
人より早く何かに気づき投資などの変化に対応しリスクを取れば、時代のその先の流れに乗れるだけではなく、その投資先やビジネスを行う先の国やビジネスのことに敏感になるはずです。そして真剣に投資や自分のビジネスについて考えはじめます。考えたその先には投資を増やすか減らすか、海外とのビジネスを拡大するか自粛するかという「行動」があり、そして運用や海外での行動の「実績」が手元に残り自らに「自信」がつきます。それが次の新たな「行動」を呼んでいくのです。
因みに真剣に考えればそして行動すれば、全勝とは行かないまでも高い確率で富を築くことができていきます。その行為に持続性を持たすためには色々な国で分散して投資を含む行動を行うことでその高い確率を示現できていきます。
ヘッジオンラインでは最終的にはこの「長期海外分散行動(投資も含む)」で皆様に生き残っていく術を手に入れていただきたいと考えています。
因みにこの「海外分散行動(投資を含む)」を行う際のコツにもう一つ付け加えると上述の(4)「非常時の想定」になります。ここを多くの投資家が無視しそして失敗しています。そのコツの一つには海外投資を行う念頭に「地政学リスク」に気をつけるということがあります。いわば脳梗塞のようなものなので世界情勢の健康診断を行うことが欠かせません。
ヘッジオンラインではこうした「長期海外分散行動(投資も含む)」を円滑に行うためのそのステップ・ステップをサポートしていくことを第一義としています。第一歩としての「気づき」を皆様とシェアし、その次の展開として「海外分散投資と投資背景にある思考のレビュー」を円滑に行うためのサポートを目的としています。
「気づく」ということにはある程度の知識とセンスが必要だと言わなければなりません。そのため、「気づき」を培うために、「世界史」という国際教養と「世界情勢」という現状把握が2大要素となってきます。この2つを日々お伝えしていくというのがヘッジオンラインのコンセプトです。
「過去」が「今」に通じているように、「今」は「未来」に通じています。歴史を知ることで現状を正しく理解することができ、そして未来に限りなく近づくことができると考えています。歴史は繰り返すのです。経済用語で言えば景気循環といいます。未来がわかるなら投資やビジネスで成功するのは難しいことではなくなるはずです。
そして、日本はアジアに存在し、アジアは世界につながっていることから、世界史と世界情勢を知ることで日本をより深くそしてその先の日本を知ることができるはずです。
世界情勢の過去、現在を丹念に追い求めていく過程で、1年もすれば皆様には世界や日本の未来の一端が見えてくるはずです。しかし、1年と雖も上記のようなその作業は独りで行うには膨大で非常な忍耐力を求められる作業になってしまいます。そこで「ヘッジオンライン」を皆様の水先案内人としてご活用ください。
世界情勢に見識を持てば未来が把握できる可能性が高くなり、その結果としての海外投資の成功が見えてくるわけですが、ヘッジオンラインを通じて、海外資産投資への実践者であるファンドマネージャーと海外資産投資の参謀長であるストラテジストという一級の専門家を道先案内人にして、皆様のその歩みを確かなものとしていっていただきたいと望んでいます。
『冷戦「後」』という時代が終焉を迎えつつあり、その先の「多極化」という大きな世界的な情勢変化の只中にあって、ヘッジオンラインは皆様の一人一人の中に独自のそして確かな羅針盤を作っていくものと確信しています。
長いおつきあいとなりますが今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。